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生化学的代謝

乳酸代謝


まず、人間のエネルギー源はなんぞや?というとこから入ります。

車のエンジンはガソリンを燃焼し動きますが、筋肉を動かすにはやっぱりガソリンのようなものがいるのでは?と、いうことになります。さ、ここで質問です。誰か、答えてください。筋肉を直接動かすエネルギーは何ですか?

皆さん、聞いたことありませんか?答えは「ATP」と言う物質です。これ、中学校の教科書に出てきます。アデノシントリフォスフェート、アデノシン三リン酸と言います。このエネルギーは非常に効率がよく完全燃焼しADPと水が生まれるのみとなります。この様なありがたいエネルギーなのですが、ガソリンは精製工場で出来ますがATPもまたそんな生成工場があるのです。

では、 ATP の元となるものはなんでしょう?

人の食べるものはいろいろあります。肉、魚、野菜いろいろ上げられます。では、焼肉で筋肉は動きますか?お刺身で筋肉は動きますか?お煮しめで筋肉は動きますか?正解はすべてです。何故なら全てに当てはまる栄養素が「糖」であるからです。



 

 

細胞基質中には解糖系という代謝経路があります。これが、やたら速いATP生成能力をもっています。筋肉で使われるATPの殆どがこの解糖系で作られたATPを使っていますと、言っても過言ではないでしょう。


 



もともとあったATPが二つ消費され 4 つのATPが生成されたと言う事が重要となります。 4ATP−2ATP=2ATPであり、解糖系では2ATP生成されることになります。

解糖からTCA回路へと、いうことで、この時にピルビン酸が生成された時点で 嫌気的、いわゆる酸素がない状態であると乳酸が生成されてしまいます。逆に、 好気的、酸素のある状態であればミトコンドリアに入りアセチルCoAが生成されクエン酸に反応しTCA回路を回します。

 

 



「TCA回路トリ・カルボンキシリック・アシド・サイクル、日本名ではクエン酸回路、また、発見者にちなんでクレブスサイクルとも言います。この回路は効率よくATPを作ってくれる好気的代謝系で 36 ATPものエネルギーを作ってくれます。しかしその反応には脱水素酵素や補酵素としてNADH等多用されて非常に反応が複雑となっています。 その為に反応は一定で組織の要求に応じて 1000 倍まで速度を上げられる嫌気的代謝の解糖に比べれば遅いと考えられます。つまり、筋肉のフル活動時は嫌気的になります。よって、TCAサイクルで、作られたATPだけでは少なすぎる事になるのです。

 



と言う訳で、 この解糖系はその字の如く糖を分解する系路です。これを分解しピルビン酸まで分解する過程でATPが精製されます。しかも、この代謝は組織の要求に応じて 1000 倍までその代謝速度を上げることが出来るそうです。しかしピルビン酸が生成された時点で好気的であればミトコンドリアに入りアセチルCoAが生成されクエン酸に反応しTCA回路を回します。



 



しかし嫌気的であるとピルビン酸は乳酸を生成することになってしまうのです。おまけにこの解糖系は嫌気性代謝であり基本的に酸素を必要としません。つまり、酸素がなくてもATPは作られるという事であります。それは本当にありがたい話なのですが、乳酸も作られてしまうのです。しかし、乳酸も溜まりっぱなしではなく好気的な状態になりますと乳酸は乳酸脱水素酵素( LDH ;乳酸デヒドロゲナーゼ)によりピルビン酸となりそして、 TCA 回路を回しもう一度 ATP を作り始めまます。他に残存する乳酸は血液中に流れ出し肝臓で代謝され(コリ回路)糖の再合成が行われます。再合成された糖は血液中に乗り細胞基質取り込まれ、組織の要求に応じて解糖され、エネルギーを生みます。これらの状態のことは先ほどのような坊主の問答フィードバックではなく、生体フィードバック機構と言え、生体恒常性を維持した状態といえると思います。 さて、非常に難しい話はこれで終わりです。ここまでで言えることを筋硬結発生起序を生化学的にまとめて見ましょう。

 

乳酸代謝のまとめ

 

人間又は生物のエネルギーはATPである。これを生成するには細胞基質中で起こる嫌気性代謝の解糖系であり、糖 ( ブドウ糖 ) からピルビン酸を作る過程で ATP を生成するが乳酸も作ってしまい筋硬結となる。生体では通常呼吸により血液中に酸素があるので乳酸に好気的な条件がそろうと乳酸は可逆的にピルビン酸となり TCA 回路にてエネルギー化される。また、残存する乳酸は血液中に流れ出し肝臓で糖の再合成がなされ恒常性が保たれる。

というふうになります。

しかし、これでは教科書の一文のようで難しすぎると思います。そこで、ちょっと、余談を入れようと思います

 

余談

 

先日、新聞を見ていましたらお悔やみの欄に友人のお父さんが載っていました。確か、狭心症を持っていたと思うんですね。お通夜に行ってみましたらやはり突然発作を起こしそのまま逝かれたそうです。

友人のお父さんは亡くなってしまいましたが、ここで先ほどまで話していた事が生きて来ます!

人間の心臓も筋肉です。骨格筋とは少々違いますが横紋構造をもった筋肉には違いありません。心臓は力強く動き血液を全身に送るポンプです。しかし、骨格筋の様にすぐ疲れてしまっては困ります。そこで神様は考えたんでしょうねぇ。「疲れないように太い血管をつけてやろう!!そうすれば心臓は疲れないだろう。」と、思われたのかもしれません。これが、冠状動脈です。この血管のおかげで心筋は骨格筋の様にすぐに疲労してしまう様な筋肉ではなく、疲労しにくい筋になったはずだったのです。しかし、友人の父は普段からの不摂生によりコレステロールも高く血管内壁にじゅく腫が発生し冠状動脈は狭くなってしまっていたのです。その為に心筋は疲労し易くなり心臓が締め付けられる様な症状とともに乳酸が蓄積しだしニトロを噛み砕くという風な生活を送る事になり、最後にはじゅく腫に脂肪などが塞栓し酸素の供給が STOP 、心筋内は乳酸で一杯になり収縮する事が出来なくなり死に至りました。これも、乳酸のなせる業です。

更にもう一つ、お亡くなりになった友人のお父さんは死んだ後、硬くなっていきます。これは、心臓が停止しても細胞レベルではまだ生きています。よって、酸素を必要としない嫌気性代謝である解糖系は基礎代謝の範囲内でエネルギーである ATP を作り続けています。同時に乳酸も生まれますが心臓が停止してしまっている為、好気的ではない為ピルビン酸も生成出来ないし乳酸は血液中にも流れ出さず蓄積してゆきます。筋肉細胞内は更に乳酸で一杯になり硬くなっていくのです。これが死後硬直です。別名、乳酸硬直とも言います。

さ、どんなものでしょう。乳酸が身近になっていませんかぁ〜?

 

次にこれまで話したことを踏まえて患者さんにわかる様に説明しましょう。

 

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